PREVIEW

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 前節のホームC大阪戦はまさに激闘の末、全員の力でつかみ取った1-0(ウノゼロ)の勝利だった。優磨の先制弾でリードするも、ピトゥカ、そして笠井通訳の不運な退場劇があり、試合時間の大半を数的不利の立場を強いられるという苦しい状況の中、選手たちはピッチ上、そしてベンチで一丸となって戦い、絶対に成し遂げなければならない結果を手にした。

 試合後、岩政監督は「素晴らしい戦いだった。選手たちもそうだし、ファン・サポーターの皆さんも含めて、このクラブがいくつかの試合で経験してきた、乗り越えてきた試合を、また乗り越えてくれたと思う」と、チームを絶賛した。「いよいよ彼らが成長を見せ始めているな」。まさに岩政監督の言葉通り、選手たちはまた一つ上のレベルに達した―。見るものにそう思わせる、熱い魂を感じさせる試合だった。

 そのC大阪戦から1週間を経て、アントラーズは再びホームのカシマスタジアムでリーグ戦を戦う。その相手は、横浜F・マリノス。この30年の間、幾度となく激闘を繰り広げてきた”オリジナル10”のライバルだ。現在、横浜FMは2位とアントラーズの上を行く。昨シーズンの王者は”防衛者”の立場でカシマへ乗り込んで来ることになるだろう。

 また、横浜FMは今週開幕した2023-2024AFCチャンピオンズリーグの戦いも同時に進めている。先の火曜日にはホームに韓国の仁川ユナイテッドを迎えた。この日、エウベルやアンデルソン ロペスなど主力プレーヤーを温存した横浜FMは2度先行され、2度とも何とか追いついたものの、後半に怒涛のカウンターを食らい、2失点。2-4とグループステージ初戦を落としている。しかし、大事な初戦、さらにホームゲームでチームの得点源でもあるアンデルソン ロペスやエウベルを投入しなかったことで、マスカット監督、そして横浜FMの狙いは明確になった。彼らもまた、アントラーズに残された唯一のタイトルであるリーグシャーレを最優先に考えているのだ。

 「僕らは毎試合勝つだけ。その目標を全員が共有し、同じ方向を向いている」。C大阪戦で先制弾を決めただけでなく、1人少ない状況下、前線で、そして幾度となく中盤はおろか最終ラインまで下がって、相手ボールを追った優磨は力強くそう語った。

 「横浜FMは強い。でも僕らにも僕らのスタイルが確立してきている実感はある。自分が帰ってきてから、勝てていない相手だが、今回はこれまでとは違うという意識もある」

 優磨が言う通り、リーグ戦ではここ3試合、横浜FMには勝てていない。今季のアウェイゲームでも優磨が1点を返したものの、1-2と力負けした。だが冷たい春の雨が降った3月の頃とは、チームは全く違う。一人ひとりがなすべきことを理解し、そして同じ方向へ向かって邁進する強さがある。そして、戦いの舞台は我らがホームのカシマスタジアム。C大阪戦同様、再び”12番”の存在が選手たちを最後の最後まで後押ししてくれることだろう。

 「毎試合が決勝戦」。カシマをアントラーズレッドで染め、トリコロールを凌駕しよう。そして明日も、ともに戦い、歓喜をともに分かち合おう。

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