PREVIEW

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 先に行われたYBCルヴァンカップ プライムステージ準々決勝は、非常に悔しい結果となった。第1戦は終了直前の後半アディショナルタイムに決められ、1-1のドローで終わると、ホームのカシマスタジアムで行われた第2戦は延長戦の末、1-2と敗れた。2戦合計2-3で、準々決勝敗退。2年前の準々決勝敗退と同じ相手、さらに今季2つ目のタイトル逸失という事実も重なり、我々は言葉には言い表せないほどの失望感を味わった。

 抑えきれない感情があふれ出たように試合後、岩政監督は「何かが足りないからおそらく今はまだタイトルを獲らせてくれないのだと思う」と語った。第1戦、第2戦と力の限り戦った佐野も「勝たなければいけない試合だった」と振り返った。本当の強さを備えるまでは、まだ何かが足りない―。確かに、今のアントラーズはそうなのかもしれない。

 しかし、それでもボールは転がり続ける。結果は残酷ではあったが、選手たちは岩政監督が評したように“死闘”といえるような試合を戦った。さらに復帰した柴崎も後半からピッチに立ち、仲間の同点弾を演出するなど、そのゲームコントロール力でチームを一段上へと上げてくれた。今後へ向けての光は、いくつかある。

 今週はチームオフを1日はさみ、火曜日からまた選手たちは次へ向けて準備を進めてきた。クラブハウスへ戻ってきた彼らの表情は失望感を乗り越え、明るい。トレーニング中も絶え間なく声が飛び、トレーニング後には柴崎と佐野がピッチへ座り込んで、長く会話をかわした。話を終えた佐野は「すごくいい時間でした」と偉大な先輩からの教えに対し、素直な喜びを見せていた。このように柴崎の復帰は、チームに大きな影響をもたらしている。

 残ったタイトルは、リーグのシャーレのみ。明日の相手は、我々より上位にいるC大阪だ。こちらに柴崎がいるように、彼らにとっても香川真司という偉大な先達が今季復帰しており、チームとしての一体感と連動力は非常に強い。さらにそういった相手を揺さぶることができる仲間は、累積警告で出場停止。アントラーズにとっては非常に難しい局面で難敵と対戦することになる。

 だが、明日は再びホームのカシマスタジアムで戦える。ゴール裏には、「12番」という頼もしい仲間が控えている。スタジアム全体をアントラーズレッドで染め、桜色を凌駕しよう。最後の最後まで全員が一丸となって戦い、試合終了のホイッスルとともに歓喜の雄たけびでカシマを包む。明日、目指すのはその一点のみだ。

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