PICK UP PLAYER

photo

 和泉竜司が2022シーズンにかける思いは強い。加入1年目の一昨季は、開幕から27試合でチーム唯一の全試合出場を果たすも、左膝の負傷で終盤を欠場。ACL出場権争いを必死に戦う仲間をスタンドで見つめるしかなかった。

 2年目の昨季は、3月に怪我から復帰したが、不運にも試合ですぐに右足を負傷。約3か月の離脱を余儀なくされた。そして、復帰後は出場機会を増やすも、得点やアシストの数を伸ばすことはできず、不完全燃焼に終わった。

 「今季こそ、得点もアシストも目に見える結果を残さないといけない。数字でしっかりとチームに貢献したい」。そんな並々ならぬ決意のもと、2022シーズンへ臨んだ。

photo

 しかし、その強い決意とは裏腹に、開幕からベンチを温める日々が続いた。リーグ戦4試合で出場時間はわずか8分のみ。YBCルヴァンカップのC大阪戦もベンチスタートとなり、後半途中からの出場だった。どんな思いでベンチに座り、ピッチを見つめていたか。想像に難くない。

 ただ、そんな中でも和泉が腐ることはなかった。限られた出場時間の中でも、チームプレーに徹し、勝利のために献身を尽くす。トレーニングでもしっかりと準備を続け、来たるチャンスに万全を期した。

「チャンスをもらえたら、しっかり結果を残したいし、チームの勝利のためにプレーする。練習からしっかり準備をしてきたつもりだし、それを試合で出すだけ。レネ監督からはスプリントを増やすこと、チームメートとコミュニケーションを取ることが求められている。そういった部分はすぐに改善できる点なので、取り組んでいきたい」

photo

 そして、そのチャンスが訪れた。レネ監督の初陣となったYBCルヴァンカップのアウェイ大分戦、和泉は左サイドバックでスタメンに抜擢された。

 本職ではないポジションで久しぶりの先発。当然、難しさもあっただろうが、チームから求められた役割を全うしたうえで、しっかり個人の特長も発揮してみせた。運動量を活かした献身的な守備、積極的なドリブルの仕掛け。攻守両面におけるアグレッシブなプレーでチームを活性化した。

「自分のところでボールを奪えればベストだし、奪えなくても、次で奪えるような形を意識してプレーした。どういう状況においても、どんな守備でも出来るというのが、自分の良さ。そこを上手く出しながら、良い攻撃に仕掛けていく」

photo

 そんなアウェイ大分戦を終え、リーグ湘南戦に臨んだ。先発起用されたポジションは、本人も「少し驚いた」というボランチ。ただ、どのポジションでも特長を発揮できるのが和泉竜司というプレーヤーだ。

「正直、試合でボランチをやるのは久々だったので難しさは感じたし、監督が来てすぐだったので、うまくいかないことも想定していた。だから、あまり考えすぎずに、しっかり監督の求めているスプリントやセカンドボールを拾うことをなるべく出そうと意識していた。実際、自分がどうだったのかはわからない。ただ、サイドハーフにポジションを変えた後半は、みんなで前から行って、どんどん相手の背後や、嫌なところに攻め込んでいけるようになったと思う」

photo

 そして、2試合連続の先発出場を経て、次はG大阪との重要な一戦に挑む。彼がどんな起用法になるかはわからない。本人でさえ、「どのポジションかは僕もまだわからない」と笑みを浮かべた。ただ、「どのポジションで出場しても、求められることを意識しながら、試合の中で状況に応じて判断していく」と、力強く宣言した。

「プロは『試合に出てなんぼ』という世界。自分が得意とするポジションでなくても、試合に出たいという思いは強い。そして、自分が本職ではないポジションで出場するときは、本職の人の代わりに出場するわけで、その責任も感じながらプレーしないといけない。どのポジションで出場したとしても、チームの勝利のために、プレーするということは変わらない。監督が求めていること、チームが求めていることをやらないと、試合には出られない。それをやったうえで、自分の強みや特長を出すことが、チームにとってプラスになる。まずは全員がやるべきことをやることが大切になる」

 どんな状況でも、チームへ献身を尽くす姿勢は変わらない。絶対に勝利が求められるG大阪戦、和泉竜司は勝利のために全身全霊をかけて戦う。

photo

pagetop