PREVIEW

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 この1週間あまりで、3人の仲間が海を渡った。安西幸輝、安部裕葵、そして鈴木優磨。シーズン半ばで海外へ移籍することになったが、選手、監督、コーチ、スタッフ、チームに関わる全員が、少しばかり寂しさを感じながらも、3人の夢と海外挑戦の成功を願い、笑顔で送り出した。

 チームから彼らに勇気を与えられるように。次の試合は絶対勝つ。

 7月13日、明治安田J1第19節。結束を固めて杜の都へ乗り込んだアントラーズは、立ち上がりから躍動感溢れるプレーで仙台を圧倒した。前半にセルジーニョが2ゴールを奪うと、後半は白崎、土居が追加点を奪って、4-0の完封勝利を収めた。

 試合後、守護神クォン スンテは、クラブを去る選手たちの影響について前向きに語った。

「個人の見解ですが、主力が抜けることは痛いです。だけどその分、残った選手が必死にやらなければいけないという意識が高くなってくるでしょう。彼らは世界に評価されてヨーロッパに出ていくわけなので、応援したいと思っています。彼らが評価されるということは、アントラーズが日本でそのような立場を築けているということです。だから、残っている選手はもっともっと刺激を受けながら、勝てるような状況を作っていかなければいけない。これからも勝ち続けていきたい」

 これまでアントラーズは、長年活躍できる若手選手を育て上げることで勝利のDNAを継承してきた。だが、近年は国内で結果を残すと若いうちに海外へ挑戦する流れがスタンダートになりつつある。主力選手の流出はクラブにとって大きな痛手となるが、今後もフットボールシーンの中心が欧州にある以上、移籍を止めることは難しい。時代の潮流には逆らえない。

 常に日本トップレベルの選手を揃えているアントラーズだからこそ、乗り越えなければいけない壁だ。これまで以上のペースで成長を加速させ、チーム内の競争力を高めていかねばならない。

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 選手たちもチームメイトと離れることに寂しさを感じていたようだが、決してマイナスには捉えていない。チームリーダーの一人として変革期を迎えたアントラーズを支えている永木は、「本当に大事な戦力の選手が抜けました。だけど、いる選手で戦っていくしかないし、逆にアントラーズはそれでも勝たなければいけないという意識を持った選手はたくさんいると思います。こうやって結果も出て、それが自信になっていくはず。今いる選手で、しっかりやっていくしかないです」と、前向きに語っている。

 最終ラインでチームを支える犬飼も、「みんな特に何も変わることなくやっています。誰かが抜けて崩れるチームじゃない。そこは自信をもってやります」と、チームへの信頼と自信を語っていた。

 未知なる世界へ羽ばたいていった彼らはいつだってアントラーズファミリーだ。その昔から旅立っていった選手たちは帰国時、必ずと言っていいほどクラブハウスを訪れ、常にアントラーズの近況を気にしてくれている。きっと、今回移籍を決断した3選手も同じだろう。

 彼らが誇るクラブであり続けるために。「誰が出ても鹿島は鹿島」でなくてはならない。チームの総力を結集し、これからもアントラーズファミリーとともに戦っていく。

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