2007 ヤマザキナビスコカップ 準決勝 第2戦 vsガンバ大阪
2007.10.13(土)15:00キックオフ
 

 スリリングな展開の末、アウェイゴールルールに沈んだ。ガンバ大阪との準決勝第2戦で3-2と勝利。敗れた第1戦のスコア0-1と合わせ、総得点では3-3と並んだが、アウェイゴール数(アントラーズ0、ガンバ2)で劣り敗退が決まった。昨年の準決勝ではアウェイゴールルールの末に横浜F・マリノスを下したが、今回はルールに泣いた。

 序盤からその局面に適応したシンプルな攻撃を繰り返し、ガンバゴールに鋭く迫った。小笠原と本山、野沢が作り出した中盤の安定感がゲームを作り、最終ラインからのフィードボールに対する前線の田代の空中戦の強さも相手への脅威となった。中盤でパスをつないでよし、そこを飛ばしてもよし。久々に、ガンバに試合を支配されない展開で試合が推移した。

 41分、野沢のパスに対して飛び出した本山が、右45度からワンタッチでシュートを放ち、ゴールネットを揺らす。44分には、新井場のクロスが田代と2人のDFをかすめるように本山へと届く。大きな切り返しで、追いかけてきた寺田を交わすと、本山は落ち着いてこの日2ゴール目を決めた。今季は中盤でのバランサー役が多かった本山だが、チーム全体の安定した攻勢を背景に、本来の前線へと飛び出していくプレースタイルを見せることができた。

 この時点で2-0。第1戦との合計スコアでも2-1と逆転した。

 だが、後半に入るとガンバの逆襲にさらされる。49分、相手2トップに仕事をさせてしまう。播戸にDFラインのブラインドゾーンに入りこまれ、前田に意表をつくヒールパスを通された。岩政が必死に距離を詰めたものの、フリーの播戸に冷静にゴールを決められた。

 痛恨のアウェイゴール。合計スコアは2-2の同点ながら、事実上のビハインドを背負った。

 だが、チームが気落ちすることはなかった。前へ前への圧力をかけ続け、直後にゴール前で相手ファウルを誘う。このフリーキックをチャンスで小笠原が蹴ったボールはジャンプしたカベの山口の頭に当たり、コースが変わってゴールへと飛び込んだ。51分。わずか2分で同点に追いついた。

 2戦合計3-2。再びアントラーズがリードを奪った。だが、相手にゴールを許すと”逆転”される状況に変わりはない。

 アクシデントは直後に起こった。この日、再三にわたって鋭い攻めを見せてきた本山が右ひざを痛め、59分に負傷交代を余儀なくされた。2ゴールでチームに勢いを与えていた本山の交代は、結果的には「敗退」の象徴的出来事となってしまう。

 ガンバは負傷から復帰したばかりのマグノ・アウベスを投入するなど、ゴールを狙う意図を明確にした。そして、66分。遠藤の右CKからシジクレイに決められてしまう。セットプレーで最も警戒しなければならないシジクレイをフリーにしてしまう、悔やみきれない失点を喫した。

 2戦合計3-3。アウェイゴールで劣り、再びビハインドの状態に陥った。

 オズワルド・オリヴェイラ監督は78分柳沢、85分興梠と次々とFWを投入。4トップの状態で「逆転」を狙う。マルキーニョスが、田代がゴールを狙うが、ゴールマウスへと押し込むことができない。4分のロスタイムの末、そのまま無情のホイッスルが鳴った。シュート数で17-8と圧倒し第2戦そのものも3-2でモノにしながら、第1戦で失ったPKでの1失点とアウェイゴールルールが重くのしかかり、ナビスコカップからの敗退が決まった。

 お互いのタイトルへの渇望が生み出した好ゲームに、アウェイゴールの面白みが加わり、スリリングな好勝負が生まれた。だが、アントラーズにとっては、3冠の最初のタイトルを失うという残念な結果となってしまった。可能性は低いながらも可能性を残すリーグ戦、そして11月4日に初戦を迎える天皇杯に、さらに大きくなったタイトルへの思いをぶつけるしかなくなった。

 
会場:カシマサッカースタジアム ・観衆:16,279人 ・天候:曇
鹿島アントラーズ vs ガンバ大阪
3 2 前半 0 2
1 後半 2
41分:本山 雅志(野沢 拓也)
44分:本山 雅志(新井場 徹)
51分:小笠原 満男
得点
(アシスト)
49分:播戸 竜二(前田 雅文)
66分:シジクレイ
17分:小笠原 満男
89分:新井場 徹
警告 44分:シジクレイ
  退場  
59分:IN:ダニーロ
    (OUT:本山 雅志)
78分:IN:柳沢 敦
    (OUT:野沢 拓也)
85分:IN:興梠 慎三
    (OUT:大岩 剛)
交代 61分:IN:マグノ アウベス
    (OUT:橋本 英郎)
83分:IN:中澤 聡太
    (OUT:前田 雅文)
スターティングメンバー
鹿島アントラーズ
曽ケ端 準 GK 21
中後 雅喜 DF 16
岩政 大樹 DF 3
大岩 剛 DF 4
新井場 徹 DF 7
青木 剛 MF 15
小笠原 満男 MF 40
本山 雅志 MF 10
野沢 拓也 MF 8
田代 有三 FW 9
マルキーニョス FW 18
 SUB
杉山 哲 GK 29
後藤 圭太 DF 31
船山 祐二 MF 23
ダニーロ MF 11
増田 誓志 MF 14
柳沢 敦 FW 13
興梠 慎三 FW 17
 
ガンバ大阪
藤ヶ谷 陽介 GK 22
加地 亮 DF 21
シジクレイ DF 5
山口 智 DF 6
橋本 英郎 DF 27
明神 智和 MF 17
遠藤 保仁 MF 7
寺田 紳一 MF 20
二川 孝広 MF 10
前田 雅文 FW 16
播戸 竜二 FW 11
 SUB
松代 直樹 GK 1
中澤 聡太 DF 2
實好 礼忠 DF 4
青木 良太 DF 15
倉田 秋 MF 31
中山 悟志 FW 19
マグノ アウベス FW 9
 
監督コメント
<ハーフタイム>
鹿島アントラーズ:オズワルド・オリヴェイラ監督
  ・後半も続けられれば良いが、このまま相手が終わる訳ではないので、もう一度集中力を高めて試合に入ること。
・最終ラインでは細かいことはしない。セーフティーにすること。
・中盤へのプレッシャーをこのまま続けよう。
ガンバ大阪:西野朗監督
  ・これで後半点を取りに行かなければならない事がはっきりした!!
・バランスは悪くないが、もう少し前でプレッシャーをかけてセカンドボールを拾え。
・ここからだ!必ずチャンスは来る。
 
<試合終了>
鹿島アントラーズ:オズワルド・オリヴェイラ監督
  前半2-0でリードしつつも追加点のチャンスがあったが決められなかった。後半、失点を重ねていくことによって焦りが出てしまい、やられてしまった。良かった点では、ガンバ相手に3点とれたこと。そして相手の中盤の攻撃力を上手く低下させることができた。悪かった点は、セットプレーからの失点。うちが抑えなければならないところでルーズになり失点してしまった。決勝進出へのチャンスは逃したが、今日のゲームを勝ったことは大きい。自分たちのやるべきことをしっかりやれば結果につながる。リーグ戦のチャンスはまだあるので落ちこむことはない。準決勝敗退は残念だが、選手の競争意識は高くなっているし、勝つためにしっかりと体で覚えていると思う。この悔しさをリーグ戦へつなげてくれることを期待したい。
ガンバ大阪:西野朗監督
  今は終わってホッとしている。選手全員がタフに90分戦ってくれた。その結果がでて、嬉しく思う。このチーム状況の中で戦力的には不安はあったがバックアップメンバーもよくやってくれた。ゲーム自体はパーフェクトではないが勝ち上がるための戦いができたと思う。前半で戦い方がはっきりしたのでアグレッシブにできた。今は、選手をほめてあげたい。
 

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