第87回 天皇杯全日本サッカー選手権大会 準々決勝 vsHonda FC
2007.12.22(土)15:00キックオフ
 
 

途中出場の柳沢の決勝ゴールで、延長戦の末に2年連続のベスト4進出を決めた。Honda FCの厳しいプレーに苦戦したものの、110分に本山―興梠―柳沢とつないでこの日唯一のゴールが生まれた。リーグ優勝に続くタイトルまであと2勝とした。  

左サイドから中央へとドリブルで切れ込んできた本山の動きに合わせて、ペナルティーエリア内では柳沢と興梠が同時に相手ディフェンスラインの裏を取る動きを始める。2人とも左前方の同方向へと動いたが、重なることを察知した柳沢がブレーキをかけて方向を変えたため、本山からのパスは興梠へと通った。柳沢の動きに気付いた興梠は、ボールをその場で止めるようにして、柳沢のシュートコースにボールを戻した。フリーの柳沢が慎重にシュートを放ち、ファーポスト側のゴールネットを揺らした。相手が10人になっていたことを差し引いても、それまでの100分以上の鬱憤を晴らすのに十分な、鮮やかな展開から生まれたゴールだった。

  ひたむきにボールを奪いに来るHonda FCの積極性に手を焼いた。ボールを受けた瞬間に、ためらいなく体を寄せてくる。ポゼッションからのボール支配は可能でも、最終局面では相手の激しいプレッシャーが襲ってきた。最も警戒するカウンターを許さないために、セーフティーに行かざるを得なかったこともあり、攻めあぐねる場面が目立った。

  それでも、セットプレーでは30分の大岩、42分の田代と決定的な場面を作った。前半のうちに決め切れなかったことが、延長まで持ち込まれる理由の一つとなった。後半に入ると、士気の上がるHonda FCにたびたび攻め込まれるシーンも目につくようになった。前半のシュート数6-1に対し、後半は5-6という数字が、後半の苦戦ぶりを物語った。ただし、82分にHonda FCの糸数が2回目の警告で退場処分となったこと、および交代出場選手の活躍で延長戦は再びアントラーズのペースとなった。

  72分に投入された柳沢は、延長戦に入ると、99分から入った興梠とともに最終ラインの背後を狙い続けた。両サイドを起点とする早めのクロスを基本に、バリエーションを加えた攻撃で揺さぶった。左サイドから切れ込んだ本山の動きに、柳沢と興梠がリンクして決勝ゴールが生まれた。

  準決勝では、同じく難しい試合となった愛媛FC戦を制した川崎Fが相手。ナビスコカップ準優勝チームとの厳しい戦いが待っている。

 
会場:ユアテックスタジアム仙台・観衆:8,537人・天候:曇
鹿島アントラーズ vs Honda FC
1 0 前半 0 0
0 後半 0
0 延前 0
1 延後 0
110分:柳沢 敦(興梠 慎三) 得点
(アシスト)
 
15分:青木 剛
37分:マルキーニョス
警告 29分:糸数 昌太
31分:河住 一仁
62分:鈴木 弘大
72分:柴田 潤一郎
82分:糸数 昌太
  退場 82分:糸数 昌太
72分:IN:柳沢 敦
    (OUT:田代 有三)
89分:IN:ダニーロ
    (OUT:野沢 拓也)
99分:IN:興梠 慎三
    (OUT:新井場 徹)
交代 82分:IN:吉村 和紘
    (OUT:柴田 潤一郎)
110分:IN:川島 大樹
    (OUT:新田 純也)
116分:IN:田阪 祐治
    (OUT:安部 裕之)
スターティングメンバー
鹿島アントラーズ
曽ケ端 準 GK 21
内田 篤人 DF 2
岩政 大樹 DF 3
大岩 剛 DF 4
新井場 徹 DF 7
野沢 拓也 MF 8
本山 雅志 MF 10
青木 剛 MF 15
小笠原 満男 MF 40
田代 有三 FW 9
マルキーニョス FW 18
 SUB
小澤 英明 GK 1
石神 直哉 DF 22
ダニーロ MF 11
増田 誓志 MF 14
中後 雅喜 MF 16
柳沢 敦 FW 13
興梠 慎三 FW 17
 
Honda FC
川口 剛史 GK 1
石井 雅之 DF 3
安部 裕之 DF 4
堀切 良輔 DF 13
桶田 龍 DF 14
河住 一仁 DF 20
土屋 貴啓 MF 16
糸数 昌太 MF 18
柴田 潤一郎 MF 19
鈴木 弘大 FW 11
新田 純也 FW 9
 SUB
中村 元 GK 12
川島 啓吾 MF 5
田阪 祐治 MF 6
増田 勝文 MF 7
関 雅至 MF 10
吉村 和紘 MF 15
川島 大樹 FW 23
 
監督コメント
<ハーフタイム>
鹿島アントラーズ:オズワルド・オリヴェイラ監督
・自分たちのリズムでサッカーをやり続けることが、この試合の流れを変えることができる。
・全体のバランス、ポジショニングに注意し、確実なプレーに徹しよう。
Honda FC:石橋眞和監督
  ・前半はよくやっている。後半も続けよう。
・田代のヘディングのセカンドボールを拾おう。
・自分たちから仕掛けて1点取ろう。
 
<試合終了>
鹿島アントラーズ:オズワルド・オリヴェイラ監督
  JFL相手に苦戦したと見られるかもしれないが、私はそうは思っていない。120分を通じてゲームを支配していたのはこちらで、相手は支配された中でチャンスを作るということができていた。Honda FCは自分たちがやろうとしていたことができていたと思う。そこを評価すべき。それに、J1を2チーム破って、ここまで上がってきたチームなのだから、手ごわくて当然だと思う。柳沢は素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた。前回(天皇杯5回戦の甲府戦)もそうだが、出たときに能力と経験をしっかりといかしてくれる。
Honda FC:石橋眞和監督
  よく食らいついてくれた。相手に精度の高いプレーをさせなかった。ただ、崩すためにはもっとパワーをかけなければならないと思う。アントラーズとは技術、判断のスピードに大きな差があった。こちらがひたむきにボールを追っても、簡単に交わされてしまう。切り替えも早く、スピードが違っていた。だが、自分たちもここまでできたという気持ち的な部分の収穫は大きかった。
 

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