第87回 天皇杯全日本サッカー選手権大会 4回戦 vs水戸ホーリーホック
2007.11.04(日)13:00キックオフ
 

 田代、小笠原のゴールと新井場の2アシストで水戸ホーリーホックを2-0で下し、アントラーズが天皇杯5回戦(ベスト16)進出を決めた。21分に新井場のパスを田代が決めて先制し、65分にはゴール前に飛び込んだ小笠原が、新井場の左サイドからのクロスに合わせて2点目を決めた。

 1試合限りで勝ち上がりを決める天皇杯らしく、双方ともリアリズムを貫いた。今季は積極的に攻撃を仕掛けるサッカーを目指してきたホーリーホックがゴール前を固めるかつての姿を明確にすれば、一方のアントラーズも安易に攻めてカウンターを食らわないよう慎重に攻めざるを得なかった。ゴール前の密集を避け、小笠原がディフェンスライン近くまで下がってゲームメークするなど、全員が前がかりになることなく、試合を進めた。

 引かれた場合の鉄則となる”サイドからの崩し”を実演し、開始2分に早速、右の内田がゴール前にクロスを上げる。11分にも野沢が右サイドに開いてクロス、19分には左から本山がクロスと、左右から揺さぶりをかける。そして21分、本山のパスを受けて中央へと進出した新井場が田代へラストパスを送り、先制点が生まれた。新井場のドリブルで中央がルーズになり、田代がGKを冷静に見て流し込む余裕も生まれていた。

 1点をリードされ、ホーリーホックも反撃に出た。25分に西野、29分にビジュがゴールを狙ったが、アントラーズ守備陣が防いだ。前半はこのまま1-0で終了した。

 後半に入ってもホーリーホックのベースは変わらなかった。最少失点をキープしてワンチャンスにかけるやり方で、アントラーズも慎重な戦いを余儀なくされる。圧倒的にボールを持ちながらも不用意な縦パスは避け、田代へのロングボールや両サイドバックのオーバーラップからのサイド攻撃でチャンスを紡いだ。

 60分、マルキーニョスからのボールを受けた新井場が左サイドからクロスを上げ、小笠原が体ごと押し込んで2点目が生まれた。

 ここからホーリーホックが前がかりになり始めた。77分には小椋がミドルシュートを放ったが、曽ケ端が何とか防いだ。アントラーズもマルキーニョスや途中出場の柳沢がゴールを狙うが、追加点は生まれなかった。86分には興梠がゴール前で相手DFをごぼう抜きし、GKまで交わしてシュートを放ちながら、わずかに左へとそれた。

 試合はこのまま2点差で終了し、公式戦2回目の茨城ダービーはアントラーズの勝利に終わった。J2勢と天皇杯初戦で対戦したのは今回が5回目だが、2点差がついたのは今回が初めてだった。過去4回はいずれも1点差で、初戦が簡単にはいかないことは、すべての選手が分かっていただけに、リアリズムの中できっちりと勝利をつかんだことは評価できる。一方で、”あと1本 ”が出ないリーグ戦同様のフィニュッシュ精度の不足も見られ、再び課題をつきられた試合でもあった。

 
会場:カシマサッカースタジアム・観衆:7,005人・天候:晴
鹿島アントラーズ vs 水戸ホーリーホック
2 1 前半 0 0
1 後半 0
21分:田代 有三(新井場 徹)
65分:小笠原 満男(新井場 徹)
得点
(アシスト)
 
29分:大岩 剛
66分:小笠原 満男
警告 82分:ビジュ
  退場  
71分:IN:柳沢 敦
    (OUT:田代 有三)
78分:IN:ダニーロ
    (OUT:本山 雅志)
83分:IN:興梠 慎三
    (OUT:マルキーニョス)
交代 63分:IN:塩沢 勝吾
    (OUT:中村 英之)
71分:IN:眞行寺 和彦
    (OUT:鈴木 良和)
82分:IN:村松 潤
    (OUT:西野 晃平)
スターティングメンバー
鹿島アントラーズ
曽ケ端 準 GK 21
内田 篤人 DF 2
岩政 大樹 DF 3
大岩 剛 DF 4
新井場 徹 DF 7
青木 剛 MF 15
小笠原 満男 MF 40
本山 雅志 MF 10
野沢 拓也 MF 8
マルキーニョス FW 18
田代 有三 FW 9
 SUB
小澤 英明 GK 1
石神 直哉 DF 22
ダニーロ MF 11
中後 雅喜 MF 16
船山 祐二 MF 23
柳沢 敦 FW 13
興梠 慎三 FW 17
 
水戸ホーリーホック
原田 欽庸 GK 31
鈴木 和裕 DF 4
平松 大志 DF 3
吉本 岳史 DF 14
中村 英之 DF 30
金澤 大将 MF 17
小椋 祥平 MF 6
ビジュ MF 26
倉本 崇史 MF 20
西野 晃平 FW 19
鈴木 良和 FW 25
 SUB
武田 博行 GK 21
村松 潤 MF 7
椎原 拓也 MF 13
眞行寺 和彦 MF 29
エジナウド FW 8
塩沢 勝吾 FW 11
     
 
監督コメント
<ハーフタイム>
鹿島アントラーズ:オズワルド・オリヴェイラ監督
・ビルドアップ時は、サイドチェンジを有効的に使い、数的優位を作って攻撃しよう。
・ロングボールなど攻撃にバリエーションをつけよう。
・カウンターに注意すること。
水戸ホーリーホック:前田秀樹監督
  ・コンパクトなサッカーをする事。
・攻撃に出たら思い切ったプレーをする事。
・まず1点取りに行こう!
 
<試合終了>
鹿島アントラーズ:オズワルド・オリヴェイラ監督
  相手は失点をしない、得点をさせないという戦法で超守備的で臨んできていた。
我々は落ちついて我慢しながらどこかのタイミングで崩していく事を考えていたし相手の与えられた条件を判断し、適用する事が出来たのではないか。
素晴らしい内容という訳ではなかったが、満足する部分は多少なりともあった。勝って終われた事は次のステップにつながり良い事だと思う。
終盤、(天皇杯に勝ち進む事を想定し)残り8試合すべて勝ち続ける事。 良い状態に戻せる手ごたえはあるので、最後も良い形で締め括りが出来ればと思う。
水戸ホーリーホック:前田秀樹監督
  前半からかなりおされると考えて3バックで臨んだ。 ただなんとか失点するまでは機能していたが、1対1での個人差やクロスに対しての精度の違いもはっきり出ていた。
前半、怖がって自信なさそうなプレーだったが、後半に入って少しずつリズムがとれるようになってきた。
今、調子の上がってきているアントラーズを真剣にさせる事が出来た部分もあった。
2月のプレシーズンマッチよりは、はるかに良い形でプレー出来た。 みんなよく頑張ってくれた。
我々にとって良い試合となったしリーグ戦にもつながる。 J1相手に少しはやれるじゃないかという試合をサポーターにも見せられたのではないか。
 

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