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2021年04月26日(月)

FREAKS vol. 307(2021/4)より 〜決意をもって続けてきた努力〜

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世界の舞台で活躍してきたジーコTDが偉大なキャリアを築くなかで
出会った人々と印象に残った言葉とは―。
語られる言葉の一つひとつが、アントラーズにとっての“至言”となる。

言葉の持つ力について、ジーコテクニカルディレクター(TD)に聞けば、その前提があるという。
「言葉は影響を与えられるが、そこにはまず、行動がともなっていなければならない」
チームメートに意見やアドバイスをするにしても、まずは自分が行動で示す必要がある。姿勢を見せることで初めて言葉に〝重み〟が生まれると説いた。
ジーコTD自身も、アドバイスや助言を受けるたびに、自分を見つめ直し、自問自答することで成長してきたという。世界を舞台に活躍してきたその経験は、アントラーズにとっての大きな財産でもある。ジーコTDの経験と、一言一言がまさにアントラーズにとっての〝至言〟となる。

フラメンゴの寮の扉に
貼られていた言葉

──選手時代はブラジル代表として3度のW杯に出場し、フラメンゴでは多くのタイトルを獲得しました。そのキャリアを振り返ったとき、自身の指針になるような“至言”との出会いはあったのでしょうか?
「私がプロになり、成功していく過程では、いろいろな人たちから数え切れないほどのアドバイスや助言をもらいました。その言葉によって、私は多くの知識と考え方を学びました。そのなかでも印象に残っているのは22、23歳のころ。フラメンゴで働くことになったクラブスタッフが寮の扉に貼った言葉が心に大きく響いたのです。そこには『負けることへの恐れが、勝つことへの意欲を失わせる』と書かれていました。その言葉を見て、自分なりに言葉の意味を考えました。いくら能力や知識があったとしても、トライする気持ちやチャレンジする姿勢がなければ、成功を勝ち取ることもできなければ、勝利することもできません。選手のプレーに例えれば、ミスを恐れてパスを出せるのに出さなかったり、シュートを打てるのに打たなかったりすれば、結果を出すことも成長することもできないでしょう。決めると信じて打たなければ、入るシュートも入らないですからね。大切なのはミスを恐れず、チャレンジすること。扉に貼られた言葉を見て、そう思いました。この言葉であり、考えは、きっと選手だけでなく、皆さんの人生においても同じことが言えると思います。そして、この言葉は私自身の人生の教訓になりました」

──今の言葉を受けて、ジーコTDは不安に打ち勝つために、どのような取り組みを続けてきたのでしょうか?
「プレーについて言えば、不安を打ち消すために、とことん自分の技術を磨きました。すべてにおいてレベルアップするように取り組んでいましたね。パス、ドリブル、シュート、トラップ、それからヘディング、PK、FKも。自分が不安なくピッチに立てるように、とにかく練習を繰り返し、自信を身につけました。それでも試合ではミスが起きてしまうのがフットボールでもある。だからこそ、ミスが起きないようにするために、いかに精度を高めるかが大切なんです。私自身が選手のときに意識していたのは、疲労困憊になったときでした。練習中も、疲れを感じているなかで、いかに精度を落とさずにプレーできるか。そこで自信を得ていれば、試合中に疲労を感じていても、求められるプレーを実行できるのです。だから、練習で一つひとつのプレーを追求することで、一つずつの不安を払拭していったと説明すればいいでしょうか」

──選手時代を振り返れば、すばらしい記録やプレーの数々でしたが、誰かの言葉や助言によって、ジーコTD自身の目の前が開けた瞬間はあったのでしょうか?
「イタリアのウディネーゼでプレーしていたときのことです。当時は年齢的に30歳くらいだったのですが、ケガをしてしまい、長期間にわたってリハビリをしていました。そのとき日々、ドクターと会話をしていくなかで、彼に言われたことがあったんです。『フットボールだけでなく、人生においても記憶力と冷静さが大切になる』ということでした。自分なりの解釈で、この言葉を紐解けば、記憶力というのは、さまざまな情報を知識として自分のなかに蓄積していくことで財産になるということ。人から言われたことや自分で学んだこともそうです。そうした言葉や経験は、いつか自分がアドバイスを求められたときに生きると、ドクターからも言われました。その言葉を聞き、私は今まで以上に、新たな知識を身につけ、学ぼうと思ったのです。そうした経験が日本に来て、日本サッカーの発展に尽力するというところでも生かせたと感じています。何より、日本人の優れているところは、記憶のところにも大きく関係する〝学ぼうとする姿勢〟がありました。そして、〝冷静な判断力〟。フットボールは、どうしても感情に左右されるスポーツです。とはいえ、感情だけに支配されてしまえば、正しい判断ができなくなる。そうした意味で、先ほどの言葉にもあるように〝冷静さ〟が必要になるのです。日本人には、その記憶力と冷静さというものが、文化や習慣として備わっていた。私がウディネーゼ時代にドクターから言われた言葉とリンクするところがあるなと、アントラーズで過ごしていくなかで感じていたのです」

──言葉をただ受け止めるのではなく、その意味を自分なりに考え、咀嚼することが重要ということですね。
「そのとおりです。言葉には抽象的なところもあるので、まずは自分自身がその言葉の真意を理解しなければならない。その人が言ってくれた言葉には、どのような意味や思いがあるのか。そこを考えなければ、言葉をくみ取ることはできない。特に現代フットボールは、より結果が重視されるようになりました。しかも、短期間で結果を出さなければいけなくなった。ただ一方で、すべてを短時間で解決できるかというと、そこには緻密な分析と細かい指導が必要なように、時間をかけなければ達成できないこともあります。プレーもそうですけど、ここ数年で試合スピードは格段に速くなりましたよね。でも、だからといって、何でもかんでも速くプレーすればいいということではないんです。大事なのは精度。これは私がプレーしていた時代と今も、変わらないところだと思っています。同様にクラブ経営においてもスピーディーなだけでなく、よりクオリティーというものが求められているように感じています。最初に話した『負けることへの恐れが、勝つことへの意欲を失わせる』という言葉と、『フットボールだけでなく、人生においても記憶力と冷静さが大切になる』という言葉は、一人の人間としても、サッカー人としても、私の心にずっとある言葉です」

ミュンヘン五輪のメンバーに落選
そのとき支えてくれた家族の言葉

──ジーコTDは選手としてさまざまな経験をしていますが、苦境に立たされた時期はあったのでしょうか?
「思い返すならば、若かりしころの私は、選手として1972年のミュンヘン五輪に出場したいという目標がありました。でも、最終的に私が代表メンバーに選ばれることはなかった。20歳前の私が、そのとき抱いたショックや挫折感は計り知れないくらい大きなものでした。初めて『自分はサッカー選手になるべきなのか』『違う道を探したほうがいいのではないか』と考えました。また、ケガもそうですよね。『ケガを治療して、またピッチに立つべきなのか』『ここでやめるべきなのか』と思ったこともありました。その節目、節目で、自分自身を見つめ直し、迷い、考え、悩んできました。皆さんは私の華やかな部分しか見ていないですし、覚えていないかもしれないですが、私はそこにたどり着くまでに、ずっと、ずっと努力を重ねてきたんです。だから、『あなたのキャリアはどんなものでしたか?』と問われれば、私は『努力』と答えるでしょう。ポルトガル語で表現すれば『Determinação』(決意や決心)という言葉に置き換えられるかもしれません。意思をもって努力を続けてきたということになると思います。だから、あらゆる方法で自分自身をレベルアップさせ、高めてきたと胸を張って言えます」

──ミュンヘン五輪のメンバーに選ばれなかったときに、自分自身を支えたものは何だったのでしょうか?
「代表については、選ばれることもあれば、選ばれないこともあるという事実は、私自身も理解はしていたんです。ただ、その過程を少しだけ説明すれば、私自身は五輪を目指すブラジル代表のメンバーにずっと選ばれていて、試合にもずっと出場し続けていた。予選でもチームに貢献し、五輪出場を決める試合ではゴールも決めていました。当時はすでにフラメンゴでプレーしていましたが、年齢的にもコンスタントに試合に出られる状況には、まだありませんでした。加えて五輪が開催される72年にフラメンゴの監督が交代し、私は監督の構想から外れてしまった。当時はメンバーに選ばれなければ練習もままならない環境だったこともあり、五輪代表の監督からは、『試合に出ていなければ君を選ぶことはできない』とも言われました。それもあって私は、トップチームからカテゴリーを一つ下げる形で、かつてのJリーグにあったサテライトチームでプレーすることを決断したのです。それくらい五輪出場に全身全霊を捧げていたんです。そして、そのチームで優勝も経験すれば、得点王にもなったことで、五輪のメンバー入りは確約されたと思っていたんです」

──ところが、最終的にメンバーには選ばれなかった……。
「そのとおりです。正直、自分としては裏切られたという気持ちも強く、10日間くらい家に帰って、父親に『サッカーをやめる』と伝えもすれば、フラメンゴにも『もう、サッカーをやめます』と伝えたくらいでした。兄たちも同じような経験をしていたことから、同じ思いはしたくないという気持ちも強かったんです。だから父親にも『勉強でも何でもする』『違う道に進もうと思う』と伝えました。でも、そのときに諭してくれたのが兄たちだったんです。兄は『実はフラメンゴはお前をバックアップしてくれていたんだぞ』『フラメンゴはお前のことを期待してくれていたんだぞ』という話を聞かせてくれ、私を何度も説得してくれたんです。そのとき、『代表に選ばれる、選ばれないというのは、自分の意思ではどうにもならないところがある』とも言われました。兄たちの言葉や支えもあって考え直し、もう一度、フットボールに向き合ったことで、私はその後のキャリアを築くことができたのです」

──そこでジーコTDがやめていたら、サッカー界にとって大きな損失でした。今日のアントラーズもなかったかもしれません。
「若いときに、自分がこうした選手になれるとわかっていたら、やめようとは思っていなかったかもしれないですけどね(笑)。また、同じような経験をしていた兄がいなければ、やめていたかもしれませんし、兄が私の気持ちに賛同していたら、やっぱり、やめていたかもしれません」

──五輪代表落選という苦い経験やケガを乗り越えるたびに、ジーコTDはそれを糧にして成長してきたということですね。
「成長に目を向けると、人は壁にぶつかったとき、それを乗り越えていかなければいけないですよね。自分の経験を語れば、私自身はFKが得意なプレーの一つでした。最初は無名の選手でしたが、FKで点を取るようになると、そこでも注目されるようになり、対戦相手はさまざまな対策を練ってくるようになりました。あるチームは、壁の高さを調節してくれば、あるチームは蹴る前に挑発してくることもありました。当初は、私自身も壁の上を越えるシュートを狙っていたこともあり、GKがそこに狙いを絞ってくることもありました。私はそこで観察し、分析することで、今度は今までとは異なるサイドに蹴ったり、下を狙ったりと工夫をしたんです。再び練習を繰り返して、新たな球種を身につけ、バリエーションを増やすことで結果を残そうとした。何が言いたいかというと、人はそれぞれが置かれた状況で、何をすれば成長できるのかを考え、行動していけば、壁を乗り越えることができるということ。フットボールにおいては、相手が予想している範疇のプレーしかしなければ、読まれてしまい自分のキャリアは、そこで止まってしまうし、終わってしまうことにもなるのです」

──常に挑戦し、努力を欠かさなかったジーコTDの哲学は、今日のアントラーズに息づいています。その一つが、『献身・誠実・尊重』といわれる〝ジーコスピリット〟です。クラブ創設30周年を迎える今、改めてこの言葉の真意を教えてください。
「この三つの言葉は、私自身が伝えたものではなく、私が日頃から大切にしていた思いを、兄であるエドゥーが指標としてくれたものです。兄への敬意も含め、ここは改めて明確にできればと。それを〝ジーコスピリット〟と名付けてくれたアントラーズにも感謝しています。ただ、『献身・誠実・尊重』という三つの言葉は、私のなかでは当たり前でもあるのです。この三つの姿勢がなければ、チームは強くならないし、クラブも大きくはならないと思うからです。まずは『献身』ですが、自分が今いる組織に対して、常に努力することが大事になる。そして次に、それぞれがそれぞれを『尊重』する姿勢が大切になります。それは選手同士だけではなく、選手は指導者を、また指導者は選手を尊重しなければならない。それはすなわち、お互いが信頼し合うということになります。そして、この三つにおいて最も難しいのが『誠実』であること。人間には欲があり、ときには個人の欲で動いてしまうところがあるからです。ただ、そこで自分に対して、他人に対して『誠実』であることができるか。選手たちには、自分が成功したいという思いだけで行動していないかということを問いかけてもらいたい。そして、常にチームのために行動できる集団でなければいけない。選手、監督、コーチ、さらにスタッフ、フロント、そして、その先にはサポーターがいるということを常に意識して、一つになっていくことができるか。そうした思いでつながった組織になればなるほど、私は結果を残すことができると思っています。そういう意味で、組織に対して献身し、お互いを尊重し、自分と周囲に対して誠実である。それが勝つという目標を達成するには大事で大切なことだと思います」

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