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2021年02月03日(水)

FREAKS Vol. 304(2021/1)より 〜求めていたフットボール〜

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土居聖真に、2020年のターニングポイントを聞けば、内田篤人が引退して間もない明治安田生命J1第13節の柏戦を挙げた。途中出場から試合終盤に自ら2ゴールを決めて、3-2で逆転勝利を収めた試合だ。

「篤人さんの引退もあって、みんなに責任感が芽生えたところもあるけど、負けるかなという試合をひっくり返すことができて、チームに一体感が出てきたように思う」

そこで勢いに乗ったチームは、さらに勝利を重ね7連勝した。19シーズンも感じていたというが、自分が活躍すればチームは負けないという自負や責任感、使命感をより強く実感したことだろう。

技術に加え、高い戦術理解度は、ザーゴ監督が目指すフットボールにおいて、より欠かせないピースになった。背番号8は、チームがトライするフットボールをどう理解し、どこに希望を見いだしているのか。

「このフットボールでタイトルが獲れたら、本当に楽しくなると思う」

頼もしき言葉の数々に、アントラーズの未来が見えてくる。

ボールを保持する意識は
完全にチーム全体に浸透した

──シーズン序盤を振り返れば、リーグ戦4連敗からのスタートでした。序盤戦で結果を残せなかった理由はどこにありましたか?
「簡潔にいえば、みんながバラバラだったように思います。監督が就任したばかりということもあって、まずはやりたいフットボールというのを理解しなければならなかった。そのうえで、新加入選手も、もともと所属している選手も、自分が試合に出るために、自分のよさをアピールしなければならなかった。それもあって監督、コーチ、選手が、チームとして戦うというところで同じベクトルを向くことができていなかった。どこかまだ、一つの輪になり切れていなかったように思います。加えて、ザーゴ監督を含めたコーチ陣も、日本のサッカーを理解し切れていないところがあったように思います。相手チームのやり方や相手選手の特徴を把握するのに、当初は多少のずれがあったように感じていたので。20シーズンに加わったブラジル人選手たちも含め、リーグ戦4分の1を消化してJリーグってこんな感じなのかというのがわかってきたんじゃないかと思います。あとは、シーズン当初はメンバーも毎試合のように入れ替わっていましたよね。若手選手たちがチャンスをもらえたことは、決して悪いことではなかったと思いますけど、メンバーがころころと変わっていたことも原因の一つかなと思います」

──目指すフットボールが大きく変わったことに加え、確かに今、話してくれたこともシーズン序盤に結果がともなわなかった理由として挙げられますね。
「他のクラブと比較するわけではないですけど、ポゼッションサッカーへと転換したタイミングを見れば、19年に優勝した横浜FMや20シーズンに優勝した川崎Fもそうした時期は、結果が出ていなかったことと、ちょっと似ているのかなと思います。僕自身も、最初はそれほど変わらないだろうと思っていたけど、やっていくうちに難しいことなんだなと思いましたから。180度といえるくらい戦術が変わった状況で、内容と結果の両方をともなうというのはこんなにも大変なことなんだというのは、身に染みて感じました。横浜FMも川崎Fも、そうやって築いてきたベースを、毎年、毎年、上積みしていくことで、自分たちのスタイルを確立させてきたように思うので、僕らはまだ、その途中にいますよね」

──それだけ一朝一夕でスタイルを築くのは難しいということですね。
「そうですね。ただ、横浜FMはその1年目には残留争いをしていましたし、川崎Fも優勝するまでには多くの時間を費やしている。そういう意味では、改革1年目にもかかわらず、上位に食い込めたというのは、チーム力であり、アントラーズのブランド力というのもあったのではないかと思います」

──ザーゴ監督のもとで1年間プレーしてきたわけですが、改めて今までとは何が大きく変わったのでしょうか?
「まず、ボールを保持する意識は、完全にチーム全体に浸透したと思います。19年までは、どこか相手に合わせているところがありました。だから、ボールをつなげないときは我慢するフットボールというか。いってしまえば、リアクションの部分がありました。でも、20シーズンは自分たちからアクションするスタイルへと大きく移行した。自分たちからボールを保持して、ボールを取られたとしても、引かずに前から取り返しにいく。そのうえで、なるべく相手陣内でボールを奪い切る。19年と比較すれば、攻撃においても守備においても真逆のフットボールをしていますよね。守備にしても、ほとんどの試合で、ディフェンスラインも人を余らせることなくマンツーマンで、前からはめにいくやり方をしていますからね」

──これまでも前線から組織的な守備はしていました。ザーゴ監督が指揮するようになってからのプレッシングとの違いは?
「少し大げさないい方になりますけど、20シーズンは、『はまらなかったとしても、前からはめにいく』とでも言えばいいですかね。19シーズンまでは、守備がはまらなければ、一度、引こうとしていたんです。引いて自陣で形を整えて、相手がこのエリアまで入ってきたら、そこから強く出ていこうとしていた。でも20シーズンは、はまろうがはまるまいが、ある程度、前からいき、大外を捨ててでもワンサイドでアプローチをかける。逆サイドも、自分のエリアをカバーするだけでなく、なかに絞って内側、内側という意識が強い。それでもプレスがうまくはまらないときは、監督が指示を出してくれますけど、そのときも『引け!』と言われることは、まずありません」

──守備のやり方一つにしても、ザーゴ監督が目指すフットボールが見えてきますね。
「そうなんですよね。攻撃にも守備にも、こう決めたら貫こうとする監督の確固たる哲学があるように思います。たとえ、試合に負けたとしても『間違っていない』『やり続けるんだ』と言ってもらえたことで、ここまで積み上げられてきたんです」

監督が掲げるキーワードは
すべてのプレーにおける〝強度〟

──攻守のポイントを挙げるとすると、トランジションが一つあるように思います。20シーズンは特に、守から攻、攻から守の切り替えの速さが際立っていました。
「シーズン半ばまでは、特にそれありきなところもありましたよね。前線の選手がボールを取られたとしても、すぐに切り替えてボールを取り返す。しかも、それが1人、2人ではなく、3人、4人が関与してボールを奪い返せていた時期は、やっぱり連勝できていた。そのあと、負傷者が出たり、メンバーが代わったりすると難しくなったりした。だから、優勝するためには選手が代わっても、いかにそのレベルを維持できるか。他を見ても、主力といわれる11人だけが強いチームというのはいくらでもある。でも、それだけでは1年間を戦えるチームにはならないんです」

──攻撃に目を向けると、ポゼッションにより主導権を握るとともに、前線からのプレッシングによって、今まで以上にショートカウンターが武器になっていました。
「実は、それほどショートカウンターの練習をしていないんです。監督自身も、それほどショートカウンターを狙えとは言っていなくて。ただ、『速く攻めろ!』とは言われるんですよね。だから、ポゼッションがまずチームのベースとしてあって、そのうえで縦に速くという意識があるので、結果的にそれがショートカウンターにつながっているのかなと思います」

──ショートカウンターから得点が生まれていたのは、縦への意識が高まっていた証ということなんですね。
「そうなりますね。他には、リードしているときは、『ゲームをコントロールしろ』とも言われるのですが、それは時間を稼いでボールをつなげということでは決してないんです。相手にボールを触らせず、強度を維持したまま攻め続けろということなんです」

──強度を維持しつつゲームをコントロールする。
「その強度というのは、プレースピードもそう、球際もそう、ボールにかかわる回数やシュートを打つ回数もそうです。すべてのプレーにおける強度。ザーゴ監督のフットボールを表現するとき、〝強度〟というのが一つのキーワードかもしれません。それくらい強度という言葉を繰り返し言われましたね」

──ここまでの話を踏まえたうえで、攻撃にはどのようなイメージを持っていますか?
「エヴェ(エヴェラウド選手)がいるだけに、サイドからのクロスは、19年よりも増えました。もちろん狙って(クロスを)上げている場面もありますけど、ちょっと困ったときやラフなボールを上げても、エヴェは決めてくれるし、収めてくれる。これは攻撃の形として一つ確立できたところかなと思います。シーズン後半は、綺世(上田選手)が試合に出場するようになって、さらに高さや強さが、ここにプラスされましたよね」

──他には相手のゴール前でかかわる人数が劇的に増えたように思います。
「それも監督から言われていることの一つです。ミーティングでもクロスを上げた選手が悪いのではなく、ゴール前に入ってきていない選手に注文をつけたいと、よく言っていますからね。だから、ゴール前には常に3人、4人が入っていくように言われます。実際、ヨーロッパの試合を見ていても、強いチームはゴール前に3枚、4枚入っていくのが当たり前。そこはザーゴ監督から教わったところかなと思います」

──だから、相手ゴール前でもプレーの選択肢が多いように見受けられます。
「それはありますね。ただ、そこで一つ言いたいのは、自分がボールを持っていないときや自分が動き出しているときに、落ち着かせる選手や、動き出している選手を使える余裕がチームとして出てきたらいいなと。浦和戦(第30節)もゴール前でフリーになっている選手がいるのに、そこを使わず、得点に至らなかった場面がたくさんありましたからね」

以前から思い描いていた
人と人をつなぐフットボール

──20シーズン、トライしてきた新しいフットボールが徐々に形になってきた今、思うことはありますか?
「シーズン当初は信じていなかった選手もいたと思うんですよね。このフットボールで本当に強くなれるのか。このフットボールは難しいんじゃないかと思っていた人もいたと思うんです。今まで自分たちがやってきた概念とはまったく違うことを要求されていただけに。でも、自分としては、こういうフットボールをずっとやりたいと思っていたんです。自分はアントラーズのアカデミーで育ってきましたけど、どこかアントラーズっぽくない選手といわれることもあったくらいで(笑)。それだけアントラーズといえば、堅いというか、堅実なフットボールをするイメージが、自分のなかにもあった。でも、やっぱり僕は人と人とをつなぐフットボールが好きなんですよね」

──人と人をつなぐフットボール。いい言葉ですね。
「人とプレーするのがフットボールですからね。だから、ホットラインみたいに言われるプレーも好きなんです。ちゃんと、その相手を見てパスを出す技術だったり、相手を見てやめる技術だったりもそう。そうやって今まで考えてプレーしてきた。それに近いことを監督が要求してくれるので、このフットボールをアントラーズが目指していくならば、自分も楽しめそうだなと、シーズン当初から思っていたんです」

──そこが今までとは大きく変わったところなのかもしれないですね。
「今まではボールをあまり受けずに攻撃するフットボールとでも言えばいいんですかね。中盤を省略してでも、蹴ってこぼれ球を拾って勝負したり、いい流れが来るまで我慢したり。だからこそ、20シーズンも最初は、誰かがボールを持ったときに、『顔を出してやれ』と言われても、なかなか難しかったと思うんです」

──それが1年を経て、選手たちの意識も変わってきたことで、土居選手も楽しさを感じているということですね。
「まだ楽しいと言えるところまでは到達していないですけど、充実感はあります。昨季もそうでしたけど、20シーズンはさらに、自分のプレーの善しあしが勝敗を左右することをより感じました。だから、個人的なターニングポイントはC大阪戦(第17節)なんです。あそこでケガしなければ、1年間ずっとハイパフォーマンスのまま走り続けられたかなと。あそこで負傷してしまったことによってコンディションが落ちてしまいましたから」

──ここからチームが、もうワンランク上へいくために何が必要だと考えますか?
「先日、監督も言っていたんですけど、1人でフットボールはできないんですよね。だから、前線の選手たちは、もっと相手を崩す攻撃パターンを増やさなければいけないし、それを共通認識として持たなければいけない。それこそメンバーが代わっても、同じプレーができるように。あとは、守備的な相手に対して負ける試合が多かったですけど、自分たちが前半の早い時間帯に失点したことで、引いて守られる展開を作られてしまっていたんです。そういう意味では、失点数を減らすことで、もう一皮、僕らはむけるはず。それさえなければ、負ける気がしないと思えるほどのフットボールができています」
──そうした課題も、試合を積み重ねていくことで強くなっていく自信はありますか?

「あります。得点数にしても、今のフットボールを貫きつつ、決定機を外さない。失点が多かった一方で、今季負けた試合は、押し込みながらもチャンスをことごとく外している試合だったので。守備では相手に何もやらせない。そういう圧倒的なフットボールができると思っています。何より、このフットボールでタイトルを獲れれば、本当に見ているファン・サポーターも、プレーしている僕ら選手も楽しくなると思うんです。だから21シーズンは、最初からタイトル争いに食い込んでいけるように一緒に戦ってもらえればと思います」

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