▼▼MATCH HIGHLIGHTS▼▼
2023明治安田生命J1リーグ 第24節、カシマスタジアムでサガン鳥栖と対戦した。樋口のゴールで先制したのち、同点に追いつかれたものの、知念のPK弾で勝ち越しに成功。2-1で勝利をつかみ取った。
アウェイ名古屋戦は0-1という悔しい結果に終わった。ただ、すぐに気持ちを切り替え、ホーム鳥栖戦へ臨んだ。
なお、この試合は「Love! Antlers SUNTORY DAY」として開催された。
スタメンは、GKが早川、フィールドプレーヤーは安西、植田、関川、溝口、佐野、ピトゥカ、樋口、仲間、垣田、優磨が入った。ベンチには、沖、昌子、舩橋、藤井、松村、荒木、知念が座る。
アントラーズは立ち上がりからアグレッシブに前線からプレスをかけ、鳥栖に狙い通りのビルドアップを許さない。全体が連動してボール保持者へ自由を与えなかった。
守備で流れをつくると、徐々にボールを保持する時間帯が長くなった。ショートパスにこだわらずに狙いをもったロングパスを織り交ぜ、セカンドボールでの争いで優位に立った。
押し気味に試合を進めていたが、10分にピンチが訪れる。セットプレーの流れから最後は岩崎にシュートを許してしまう。ただ、これは枠を外れ、失点には至らなかった。
ピンチを凌いだアントラーズはすぐにチャンスをつくる。12分、前線からの連動したプレスをかけ、佐野がボールを奪うと、垣田にパスが通り、垣田からのダイレクトのスルーパスが優磨へ通る。だが、相手GKの飛び出しによって、サイドに追い込まれ、シュートまでつなげることはできなかった。
14分、原田にミドルシュートを放たれるが、早川のセーブで失点を防ぐ。その後はなかなか相手陣内へ侵入できず、高い位置でボールを奪ってカウンターにつなげることもできなかった。
それでも、23分に早川の素早いスローイングからカウンターを発動。抜け出そうとした優磨はファウルで止められたが、流れを取り戻して飲水タイムに入った。
飲水タイムが明けると、アントラーズがチャンスをつくる。安西からのパスを受けた優磨がペナルティエリア右角のあたりで起点をつくり、リターンパスをもらった安西がゴール前へクロスを送る。誰も合わせることができず、得点には至らなかったが、いきなりチャンスをつくった。
すると、いい流れのなかで先制点が生まれた。球際の攻防で樋口が粘り、ピトゥカにボールが渡る。ピトゥカは相手を引きつけ、フリーになった樋口へパス。樋口はペナルティエリア手前中央から左足を振り抜くと、グラウンダーの鋭いシュートは綺麗にサイドネットへと吸い込まれた。26分、樋口の今季3点目でアントラーズが先制に成功する。得点後、樋口は古巣に敬意を表して、静かに喜びをかみしめた。
得点後も強度を落とさずプレーを続ける。鳥栖にやや攻め込まれる場面も増えたが、要所は締めて、失点を許さない。ただ、セットプレー以外でゴールに迫る場面は少なかった。
それでも45分に決定機が訪れる。優磨が中間スペースにうまく降りて、フリーでボールを引き出すと、ファーサイドへ絶好のクロスを入れる。これを垣田がゴール前でヘディングシュートしたが、相手GKの好セーブに阻まれ、惜しくも得点には至らなかった。
前半はこのまま1-0で終了。ハーフタイムに突入した。
後半は立ち上がりからプレスを剥がされ、鳥栖に前進を許してしまう場面が目立った。特にアントラーズの右サイドから攻め込まれる場面が多く、自陣でのプレータイムが長くなった。
57分に献身的に動いた仲間、垣田をベンチに下げ、藤井と知念を投入した。すると、ここから流れが大きく変わる。ボールを藤井に集めると、藤井はスピードを活かしたドリブルで、1対1の攻防をことごとく制す。藤井の個人技で左サイドが活性化し、試合の流れを一気に引き寄せた。
しかし、66分に失点を喫してしまう。左サイドから長沼に中央へドリブルで運ばれると、楢原にパスが渡る。角度をつけて右足を振り抜かれると、カーブのかかったシュートはサイドネットへ吸い込まれた。楢原のゴールで1-1の同点に追いつかれてしまう。
失点を喫したが、失点前までのテンションをキープして、攻撃を仕掛ける。70分には藤井のクロスをピトゥカがヘディング。ファーサイドに流れたボールに優磨が反応し、ゴールに押し込んだ。しかし、オフサイドで得点は認められず、同点弾とはならなかった。
その後、鳥栖に押し込まれる時間帯となったが、ペナルティエリア内で我慢強く守り、失点を防いだ。
すると、76分にカウンターを仕掛ける。佐野が自陣でボールを奪うと、素早く優磨へ鋭い縦パスを通す。優磨はダイレクトで知念へ落とすと、知念は左サイドの藤井へ展開。藤井はドリブルで対峙するDFと駆け引きしながら、ペナルティエリア内へ。すると、前線から戻ってきた富樫に倒され、PKを獲得する。
キッカーは知念。鳥栖の選手交代があり、長い間が生まれた。それでも知念は動じることなく、コースを狙った鋭いシュートをゴール右隅に沈めた。80分、知念のゴールで2-1と勝ち越しに成功する。
81分、溝口との交代で松村を投入した。得点後も勢いを落とさず攻撃を仕掛ける。特に藤井が抜群のスピードで違いを生み出し、左サイドで相手に脅威を与えた。
86分には波状攻撃を仕掛け、立て続けに決定機を迎える。だが、ピトゥカのシュートは知念に当たり、優磨のシュートはポストに跳ね返り、佐野のシュートはうまくミートできず、惜しくも追加点とはならなかった。
終盤に入ると、鳥栖の攻撃が脅威となる。89分には、自陣でボールを動かされ、最後はフリーで西川に枠内へのミドルシュートを放たれる。これは早川の好セーブでコーナーキックに逃れるが、そのコーナーキックもニアで先に富樫に触られてしまう。富樫のシュートは早川が触れないコースに飛んだ。絶体絶命の場面だったが、カバーに入った関川が見事にヘディングで跳ね返し、なんとか失点を免れた。
しかし、このプレーで関川が交代を余儀なくされる。昌子が投入され、同時に樋口との交代で舩橋がピッチへ送られた。
後半アディショナルタイムは5分から9分に延長された。鳥栖の波状攻撃をなんとか全員で耐える時間が続く。
すると、終了間際に決定的なピンチが訪れる。西川からのスルーパスがポケットへ走り込んだ長沼に通り、マイナスのクロスを入れられる。これに反応した舩橋がクリアするが、ボールはゴール方向へ。至近距離でコースが変わったが、早川が見事に反応し、これをセーブ。辛うじて失点を免れた。
そして、最後まで鳥栖の波状攻撃をチーム一丸となって守り切り、ついに試合終了のホイッスルが鳴った。2-1で勝利。苦しい試合を総力戦で勝ち切った。
次も1週間後の新潟戦。ホームでの連勝を目指し、チーム一丸で準備を進める。
【この試合のトピックス】
・樋口が今季リーグ戦3点目
・知念が今季リーグ戦5点目
・樋口がLIXIL賞を受賞
・知念がザ・プレミアム・モルツ賞、藤井がペプシ〈生〉賞を受賞

A.(今日は直近のホームゲーム)10試合で2失点目となるシーンがあったが、今年は追いつかれた流れから勝ち切ることがあまりなかった。その意味で、ファン・サポーターの皆さんの後押しが選手たちの足を動かしたと思う。特に途中交代の選手たちの活躍で勝ち切れたのは非常に大きな勝利だったと思っている。
Q.就任当初も個性が躍動するチームづくりの話をしていたが、鳥栖がいい時間を作る時間が長かったなか、それぞれの個性を出して勝ち切れた試合だったように見えた。今のチームをどう捉えている?
A.チームとしての枠組みと選手たちの個性のバランスのなかで、現代サッカーでは戦術的になるなか、僕は比較的選手の個性を発揮させてあげたい比重が大きいタイプの監督かもしれない。それを融合させて、さらに発揮させるためには、枠組みをどこに設定してどれくらいのバランスで置いておくと躍動するのかが難しいところがある。
特にうちのように多様な個性を持った選手が多いと、1人を変えることで枠組みを変えないといけないことが出てきたりと、そこで僕も試行錯誤してきた。知念選手とか藤井選手もそうだが、今の4−4−2を設定して戦うなかで、一度チームのなかに入れなかった選手をどう組み込むか。これまで彼ら自身がやってこなかったことを少し伝えながら、それをやるようになると個性を発揮しやすくなるということを伝え続けてきて、チームの枠組みを一緒のなかでやりながら、彼らの得意な個性を発揮させるバランスがようやく彼らが見つけてきたところ。練習での顔つきも変わってきたし、自分のプレーを発揮する場面も増えてきた。そこは今のチームのプラスになっている部分だと思う。
Q.藤井選手の評価は?
A.彼の場合は、おそらく大学とかプロでは攻守ともに外に張りっぱなしでプレーする選手だった。そこからうちのコンセプトのなかで内側にポジションを取ることも入れながら、そこからいつ内側に入って、いつ外に入って彼のドリブルをどう活かすのか。それを少しずつ彼と話しながらやってきた。途中に彼が「なぜ得意でないことをやらされているのか」という感覚がおそらくあって、それを説明してもなかなか分かってもらえなかったが、彼はすごく素直で前向きな選手。徐々にトライしながら、少しずつ見つけたところで「それだよ」と伝えると、そういうことかと顔が赤くなったことが少し前にあった。その頃からだいぶ彼の中でプレーが整理されて、彼が不得意なことをやらせようとしているわけではなく、外に張りっぱなしだと彼の弱点が出るところがあるので、それを隠しながらさらに彼の良さをより出やすくするための僕の案だった。そこがようやく彼に入っていったかなと思っている。今日の試合で得点にからむことができたので、今後は得点やアシストを期待したい選手の1人になる。
Q.守備について、前から行くところと失点が少なかった時期のブロックを組む時期とで使い分けが試合全体を通してうまくできていたように見えた。そこの評価は?
A.ここはまたチームがアップデートしたことの一つ。いつごろか、6、7月でうまく勝ち点が取れない時期、その前の連勝が伸びているときから実は悩んでいて、このスタイルだとおそらく勝ち続けることは難しいと思っていた。ただ、勝っているなかでいじるのは難しく、少しずつ選手に案を加えてきたものがあって、その一つが守備のメリハリだった。それがうまくできる試合もあったが、成功体験のなかに入っていく試合が増えてしまって、そこで下がって全体がうまく守れなかった。
鳥栖との1戦目もそうだったが、自分たちが最初から低いラインを設定することで、自分たちの前でボールを動かされてしまい、外される繰り返しだった。そこはこの2カ月でかなり選手たちが前向きに取り組んでくれて、名古屋戦で出たシーンに選手たちが気がついて、また具体的にチームで共有をして今週の練習に取り組んで、今日も試合で選手たちは声をかけ合いながら、この場面はどうするのかをハーフタイムを含めて話をしていたので。ようやく全体の形がまとまってきた。これはすべてハイラインでいくわけでもないし、すべて低いラインでいくわけでもなく、しっかりと使い分けながら、相手や自分たちの状況のなかで、攻守ともにやっていくのが自分たちのスタイル。今日は勝ちまでつながったというところで、選手にとっても大きな試合になった。
Q.3カ月ぶりのホームでの失点。それでも勝ち切れた理由と評価について。
A.勝ち切れたからすべてが良かったわけではなく、これまで勝ち切れなかったときもいいところはあった。今日もすべてが良かったとも思っていない。ただ、ここ最近の試合で3点を取れた試合も出てきて、選手たちが自分たちの攻撃の形に自信を持ち始めていて、少し前と比べてもチャンスを多めに作れている。そのへんの攻撃のマインドが変わってきた実感がある。そうすると自然と1点を取られても取っても次のゴールへという意識になる。そこを目指してやってきたので、非常に大きい。あと今日は交代選手たちの活躍が大きかった。今年はあまり交代選手の活躍でイーブンな状況を勝ち切ったり、負けている状況を同点に持ち込むことがあまり多くないと選手たちへ今週に指摘したところだった。それを選手たちが結果で見返してくれて、非常にうれしかった。もっと若い選手が出てきてほしいし、それが出てくれば後半戦にもっと勢いが出てくるので期待している。
鳥栖はサイドに足の速い選手がいるので、そこはしっかり抑えたい。ゴール前の高さではこちらが優位に立てると思うので、クロスをピンポイントで入れたい。いまはかなり調子がいい。アシストを狙う。
【樋口 雄太】
鳥栖に対して特別な気持ちがあることは変わらないけれど、これまでの3試合はうち合いになることが多かったので、しっかり勝たなければいけない。昨年は2ゴールだったので、その数字は超えたいし、アシスト数も同時に伸ばしていきたい。得点もアシストも狙っていく。
【垣田 裕暉】
一喜一憂することなく、目の前の試合を意識して戦う。鳥栖との試合はリーグ戦3試合連続で引き分けに終わっている。アントラーズが強いところを見せたいと思うし、どの相手からも怖がられるようなチームになりたい。勝負にこだわって、しっかりアントラーズが強いということを示したい。
(PKの場面は)ファン・サポーターが後押ししてくれたおかげで自信を持って蹴れた。(ボールを譲ってくれた)ピトゥカと優磨、PKを獲得した智也、体を張って守ってくれた守備陣をはじめとするチームメート全員に感謝したい。次節に向けて気を引き締め、これからまた勝ち続けたい。
【樋口 雄太】
自分自身、最近は前向きなプレーが多いと感じていて、その姿勢がゴールに結びついたと考えている。シュートまでのイメージを持っていたので、パスを出してくれたピトゥカに感謝したい。選手一人ひとりがこの試合での勝利を強く望んだことが結果になって表れたと思う。
【藤井 智也】
リーグ中断期間に岩政監督と話したことで、ようやく自分の形ができてきたので、今はフットボールをより楽しめている。ただ、今日はPKを獲得できたが、ゴールやアシストといった結果を出せていないので、自分の出来には満足できていない。次は結果を残せるように日々努力していきたい。
【早川 友基】
最近の鳥栖戦では試合終盤に得点が生まれて引き分けることが多かったので、今回も終了間際に危ないシーンがあったが2-1で勝ち切れてよかった。自分たちは上位陣を追いかけ、追い越していかなければならない立場にいる。これからもフットボールの内容を追求しつつ、順位を上げていきたい。
【垣田 裕暉】
このような試合で勝ち切れたことは、アントラーズらしい勝負強さが身に着いている証拠だと思う。前線からの献身的な守備には手応えがあるが、さらにゴールも決められれば理想的な出来だった。次戦もチームとして勝利を挙げつつ、個人としては勝利に貢献するゴールを決めたい。