DRAMA Vol.15 鹿の角、動き出す

ちなみに、チーム名としてつけられた「アントラーズ」とは、鹿の枝角である。公募された案のひとつだった。

鹿島地域を代表する鹿島神宮の鹿にちなみ、茨城県の“いばら”をイメージしている。チームを支援し、大きな期待を寄せる地域全体の象徴としての“角”である。そして鋭く強く、勇猛果敢に戦い、勝利を目指すチームのスピリットを表すものである。

「アントラーズFC」の前に、“住友金属”ではなく、なぜ“鹿島”という町名を冠しているかは、もう説明の必要はないだろう。

この年の4月、鹿島町に「プロサッカー推進室」ができる。当時の室長遠藤三男氏が率いるスタッフが、県と町と企業を結びつけながら、さまざまな活動に乗り出してゆく。スタジアムの規模が大きいため、道路の整備やスタジアムの駐車場(3000台収容)整備など課題は多い。

「アマチュアもプロも含め、スポーツの町鹿島として、地域を発展させてゆきたい(遠藤氏)」

ここにも、夢を実現させるために奔走する男がいる。

住友金属の社内にも、準備のためのプロジェクトチームや委員会ができるなど、バックアップ体制が整備されてくる。